コンテンツへスキップ

【パルワールド】任天堂ついに動く…ポケットペアに対する特許権侵害訴訟について

2024年9月18日、任天堂株式会社と株式会社ポケモンが共同で、株式会社ポケットペアに対して「特許権の侵害訴訟」を東京地方裁判所に提訴し、翌日19日に公式ホームページにて内容を発表した。

【パルワールド】は、2024年初頭に株式会社ポケットペアで開発されているオープンワールド系ゲームで、課金型ソーシャルゲームと違いsteamにて買い切り型として販売されている。

steamストア販売ページ

リリース当初、クオリティの高さや有名ゲームのオマージュ要素、生き物に対するやや過激な扱い、特に【ポケモン】を彷彿とさせる生き物「パル」が数多く登場するなどで一部界隈にて盛り上がりを見せ、Youtube上でも一気に動画が拡散されて有名となった。

しかし、「これはパクリなのではないか…?」といった声も当然多く、任天堂との関係がある会社や事務所では【パルワールド】の配信を制限するような動きを見て取れることもあった。

これまで、ゲーム上で登場する生き物「パル」をポケモンの見た目に改変するMODなどを「著作権侵害」の申請により削除させるなど、【ポケモン】ブランドを傷つけるようなケースには対応していたものの、肝心の【パルワールド】自体には影響はなかった。

【パルワールド】のリリース当初、許諾について問い合わせが殺到したであろう株式会社ポケモンから声明が出ており、具体的な作品タイトルは出していないものの「同ゲームに対して、ポケモンのいかなる利用も許諾しておりません」「なお、ポケモンに関する知的財産権の侵害行為に対しては、調査を行った上で、適切な対応を取っていく所存です。」と返答している。

1月に株式会社ポケモン公式から発表された声明:https://corporate.pokemon.co.jp/media/news/detail/335.html

2024年9月18日に任天堂公式ホームページより「特許権の侵害訴訟」が公表され、ついに任天堂法務部が動いていたことが明らかとなる。

「ポケットペアの【パルワールド】が複数の特許権を侵害している」としており、侵害行為の差止めおよび賠償を求めるとのこと。

著作権ではなく特許権の侵害による訴訟となっており、「パルのデザインがポケモンに酷似している」という争点で訴訟したわけではない。

あくまで、「複数の特許権を侵害している」という観点から切り込んでおり、著作権でどうにかできなくても許すことはないという意志を感じることができる。

「当社は、長年の努力により築き上げてきた当社の大切な知的財産を保護するために、当社のブランドを含む知的財産の侵害行為に対しては、今後も継続して必要な措置を講じていく所存です。」とあり、ポケモンブランドを守るために厳正な対応がされたようである。

パルワールドは既にSteamにて2500万を超えるプレイヤーと25万を超えるレビューがつく大人気作品となっていて、同年7月にソニー・ミュージックエンタテインメントなどと共に、パルワールドの国内外におけるライセンス事業を推進する動きがあったことや、9月15日にも「基本プレイ無料型にしない」などの方針発表があるなど、今後の展開についても色々な動きが考えられていたが、まさに一石を投じられたと言っていい。

ちなみに、ポケモンをオマージュしたような作品は他にも数多く見受けられる。ユーザーインターフェースに既視感があったり、登場するモンスターのデザインが酷似しているタイトルの広告は多くの人が嫌と言うほど見させられているだろう。

これらのタイトルが著作権及び特許権で訴えられていないのは、ゲーム業界の著作権・特許権の取り扱いが難しい位置にあるということがSNSでも指摘されている。インディーズゲームならそこまで厳密に潰す必要もなく、ある程度寛容な部分もある。

大手になるとお互いの会社がコアを握り合っているため、容易には訴訟に踏み切ることはないらしく、今回株式会社ポケットペアが提訴されたというのは、法務部が相当お冠だったことの表れと言えるだろう。

個人的にはゲーム業界の健全性の観点から「妥当ではある」という感想だ。